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手書きへの関心の高まり(16/12) [2004]

去る十月九、十日、徳島に於いて全国大学書写書道教育学会および全国大学書道学会が開催されました。会員の一人である私もはるばる飛行機で現地に向かいました。じつは四国の地を踏むのは生まれて始めてで、書道の隆んな土地柄、美術館めぐりなども含め収穫の多い時間を過ごすことができました。
 今回の学会は、今迄とは違った動きがいくつか見られました。おもしろかったのは、中国の書家が右手書きから左手書きに移行し、その後、能書としての名声を高めた、というくだりの研究発表のあと、書道史研究の長老から「脳科学」の視点からの切り口はないのか、という質問が飛び出したことです。書道学会というと、はたから見ても保守的な雰囲気の会なのですが、その筋の権威とされる方からの発言だっただけに会場もざわめき気味のようすでした。
 私も今回は発表があり、演題は例によって「手で文字を書くという行為の脳機能│高次脳機能を育む為の書写・書道教育とは│」といった内容でした。発表に対する反応は存外ストレートなもので、中央教育審議会の国語関係の部会の委員等、国の教育行政に責任を負うべき立場の会員らと具体的な話を進めることが出来ました。
 また昨日、パソコンの女性講師らと話していたら、パソコンの先生達の方から、キーボードばかり打っていると右脳を使わなくなってしまうんですってね、 の放送見ましたよ、と言ってきました。数年前とは手書きに対する世間の論調も変化してきているようすが感じられ、ほんの少し胸のすく思いがしました。
 もうすぐ年賀状書きのシーズンです。ぜひ、あなた自身の肉筆で賀状をしたためて下さい。それが「心の世紀」と呼ばれる二十一世紀に乗り出すための第一歩なのですから。