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筆硯佳友を得る(16/11) [2004]

今月は、師範準師範試験の合格者、並びに年間最優秀賞、努力賞の受賞者が発表されています。楽しいばかりでは続けられない手習いの倹しい山道です。その坂道を確実に一歩一歩進んできた方々の頼もしい顔ぶれが揃いました。私からも心よりお祝い申し上げます。
 「書」を習う動機は様々だと思います。字を上手に書けるようになりたい、といった普通の動機で始める方が多いでしょう。学校の現場においては今、「心」の教育のあり方が問われています。「心」とは何かを教えることに限界を感じ始めた人達が今、育む学力として「落ち着きのある情緒」というものを挙げています。そしてその手段として書道が有効であるとの実践報告がよく聞かれるようになりました。調布市の中学校の国語科の女性教師などは、学校崩壊は書道をやれば直りますよと平然と言い放ち、そして成功させています。
 古来より「筆硯佳友を得る」といいます。手で文字を書くことがその巧拙云々以外に、コミニケーション能力や情緒といったことに関係してくることが科学的根拠をもって明らかになりつつある昨今です。書を通して志を同じくする仲間と共に歩む喜びも、受賞の目に見えない記念品となっているに違いありません。表彰式では、皆様の笑顔とお会い出来ますことを楽しみにしております。