子供の習い事における書道の位置(2010年3月号) [2010]
一昔前は子供の習い事といえば、書道かそろばん、ピアノ位しかなかったといわれ
ますが、今では英語のみならず、フランス語、中国語、それにお料理、アクションス
クール等々、子供達にとってはそれこそ恵まれた選択肢があります。此度も出版社が
子供向けのお稽古ガイドブックを作るということで、書道とは何たるかについて訊か
れました。ここは書道をアピールしなければ、と考え以下のように「書」の教育上の
特質についてまとめて述べたところです。一、まず指を細かく動かす。これは体育だ。
二、言葉を素材とする。これは国語だ。三、造形感覚を養う。これは美術だ。四、文
字造形だけならレタリングでもよいので、筆順や書くときのリズム性が必要になる。
これは音楽だ。
かつて書道を習わせる第一の理由は、社会に出て、書類を書くときに速く読み易い
文字が書けるように、というものがありました。もちろん、これは現在も大きな理由
ですが、パソコンで文字を打つのが主流。自分のメモが読めさえすれば構わないとい
う意見さえあります。この二十年を振り返るに、「書」がその実用の面がことさら強
調されなくなったために、逆に手で文字を書く意義が真剣に考えられるようになった
気がします。
子供の英才教育にと、色々な早期教育が考えられていますが、こうすれば必ずこう
した分野の天才が育つ、という定石があるわけではありません。よかれとして行った
早期教育が、反対にその若芽を摘んでしまう可能性もあると聞かされれば何もするこ
とが出来なくなってしまいます。
お習字のユニークな面は年齢が上がるにつれ、それに応じた課題が用意されている
という点にあります。脳科学の分野では、ある能力を獲得する限界の年齢を臨界期と
呼んでいますが、何百年も続いている書道のカリキュラムは、こうした臨界期をよく
ふまえて作られており、現代科学を学ぶほどに書道とは実に伝統のある確かな習い事
だと感心してしまいます。そういえば私も子供のころ沢山の習い事をさせられました。
今思い出せば、それらの稽古事を通して色々な人と出会えるのが楽しみだったように
覚えています。子供の稽古は、どの道であれ、社会に積極的に参加していこうという
第一歩です。その第一歩を父兄や指導者は暖かく見守ってあげることが大切でしょう。
子供の稽古としての書道の位置についても、その役割は増々重要になってくるものと
思います。
ますが、今では英語のみならず、フランス語、中国語、それにお料理、アクションス
クール等々、子供達にとってはそれこそ恵まれた選択肢があります。此度も出版社が
子供向けのお稽古ガイドブックを作るということで、書道とは何たるかについて訊か
れました。ここは書道をアピールしなければ、と考え以下のように「書」の教育上の
特質についてまとめて述べたところです。一、まず指を細かく動かす。これは体育だ。
二、言葉を素材とする。これは国語だ。三、造形感覚を養う。これは美術だ。四、文
字造形だけならレタリングでもよいので、筆順や書くときのリズム性が必要になる。
これは音楽だ。
かつて書道を習わせる第一の理由は、社会に出て、書類を書くときに速く読み易い
文字が書けるように、というものがありました。もちろん、これは現在も大きな理由
ですが、パソコンで文字を打つのが主流。自分のメモが読めさえすれば構わないとい
う意見さえあります。この二十年を振り返るに、「書」がその実用の面がことさら強
調されなくなったために、逆に手で文字を書く意義が真剣に考えられるようになった
気がします。
子供の英才教育にと、色々な早期教育が考えられていますが、こうすれば必ずこう
した分野の天才が育つ、という定石があるわけではありません。よかれとして行った
早期教育が、反対にその若芽を摘んでしまう可能性もあると聞かされれば何もするこ
とが出来なくなってしまいます。
お習字のユニークな面は年齢が上がるにつれ、それに応じた課題が用意されている
という点にあります。脳科学の分野では、ある能力を獲得する限界の年齢を臨界期と
呼んでいますが、何百年も続いている書道のカリキュラムは、こうした臨界期をよく
ふまえて作られており、現代科学を学ぶほどに書道とは実に伝統のある確かな習い事
だと感心してしまいます。そういえば私も子供のころ沢山の習い事をさせられました。
今思い出せば、それらの稽古事を通して色々な人と出会えるのが楽しみだったように
覚えています。子供の稽古は、どの道であれ、社会に積極的に参加していこうという
第一歩です。その第一歩を父兄や指導者は暖かく見守ってあげることが大切でしょう。
子供の稽古としての書道の位置についても、その役割は増々重要になってくるものと
思います。
2010-03-24 13:37