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書は一日にして成らず(2011年10月号) [2011]

 十月の声を聞くと、秋たけなわを感ぜずにはいられません。本号は年間賞の発表の月です。一年、中には十年の精進が実り、今回の受賞となった方もおられることでしょう。この「実り」も今年で四〇〇号を迎えました。記念すべき節目の年に名誉ある賞に輝かれた方々には心よりお祝い申し上げます。
 書というものは、ボタンを押せば機械が文字を出してくれるものとは違い、指の細かい動きやリズム感、造形感覚や字形に対する認識等様々な要素がからみ合って表現、鑑賞されるものです。書は、まさに心の中を描き出す絵でしょう。この意図的に、しかも長期に亘る修練、学習によって得られる人の脳の力は「読み書きの出来る高次な人の能力」に他なりません。
 受賞された方々は、このような坂に車を押すような厳しい修業を、例えば自分なりのルールを作って少しずつでも続けるようにしたり、教室の雰囲気を、多くは語らずとも和気あいあいとさせ、書と楽しくつきあえるようにしたりしています。自らに鞭を打ち向上させていく姿勢は、科学の力で何でも解決出来そうな時代にあって、その人のみならず必ずや社会にも大きな光明を与える事と思います。
 四〇〇号記念の節目の年、会員の皆様が本会の歴史に新しい一ページを加えられましたこと嬉しく思います。今後皆様と共に益々発展していけることを祈念しています。

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