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誌上展を楽しもう(2013年11月号) [2013]

 四年に一度の誌上展が来年の七月号上で行われます。今年の一月に開かれた東京書藝展の余韻がまだ残る中での誌上展への出発です。
 前回の誌上展は、平成二十二年の九月号上で行われています。歳月の流れは早いもので前回の誌上展号を眺めていると、日記を読み返すかのように当時のことが想い出されて懐かしくなるものです。会員の方、一人一人の作品を振りかえり鑑賞させていただくと、それぞれの成長のようすも見えてきて、これもまた頼もしく感じられます。
 日頃はこの「実り」の課題をこなすことが「書」をすることの中心となっていることでしょう。毎月異なる課題を他の会員と共に頭をひねり、上達を目指し手を細かく動かしていく、これが「実り」の大切な役割ですし、この修練の積み重ねは、社会的にも有為な活動であるはずです。また時として、日常の生活の中に、「お祭り」があり、それに積極的に参加することにより、生活にハリが出たり、新しい人の輪が出来たりすることがあります。
 本会の学習姿勢は、三度の食事をどうバランスよく摂るかのような正統な書を追求しています。例えば書の世界では「崩す」という書法がありますが、わざと「崩す」のと、「崩れている」のとは大違いです。「実り」の課題は、各レベルごとに決まっています。他者との対比から見えてくる自らの書と向き合うこと。これは厳しい修業であり、決して自己満足を許してくれるものではありませんし、同時に心や脳の成長には至極有意であることも忘れてはいけません。
 一方、誌上展の課題はすべて自由です。ある意味で大いに自己満足の作品を製作して構わないのです。ただしその中に、自分が今持っているようなものをどれだけ出せるか、どのように出すか考えなければ、残るものだけに、せっかくの機会を生かせないことになりかねません。だからこそ、ぜひその製作の過程を楽しんでください。適度に肩の力を抜くことがバランスのとれた作品の完成には欠かせないからです。
 誌上展への参加は、そのような真摯な姿勢で書に取り組んでいる方々にとって爽やかな清涼剤となることでしょう。誌上展出品などまだまだ、などと考えている方も、指導者とよく相談し、出品してみてください。そのがんばりに対するご褒美は、自らの活力と自信とになって戻ってくることでしょう。

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