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就活で高まる手書きの重要性(2015年4月号) [2015]

 就活が解禁され、着慣れないリクルートスーツ姿で街を歩く学生をよく見かけるようになりました。最近では、履歴書やエントリーシートの書き方を指導するのも私の役割となってきていて、今の学生が、いかに手書きしなければならない状況に置かれているかを、私の方が逆に学ばさせていただいています。
 学生生活で力を注いだことや、自己PR、趣味・特技、志望理由を所定の枠内に書かなくてはなりません。この枠が実に小さく、言いたいことを全て書いたら虫メガネでも見えないようになってしまうし、大きく読み易い文字で書いたとしたら、言い尽くせない、といった微妙な大きさです。採用担当者は多くのエントリーシートに目を通すことになるのですから長過ぎたり、短か過ぎたりしてはいけないのでしょう。だからこのサイズになるのかとは思いますが、見本を書く私でも体裁よく、美しく書くとなると高い集中力とそれなりの時間を要します。
 大きな企業ともなると数千からもっと多くの応募があるそうで、採用する側からすれば丁寧で読み易く、配字感覚も良い方が好印象となるでしょう。応募する側も、それなりに読む側の立場になって書くべきです。それにしても学業が本分の学生にとって、これは大きな負担といわざるをえません。
 パソコンを使えば、応募する企業ごとに部分的に文字を変えてプリントアウトすれば短時間で多くのエントリーシートを作成することが出来ます。これをメールで送信すれば、何百もの企業にエントリーすることが可能になります。しかし、これは採用する側にとっては数打てば当たるの対象にされかねず、また、学生のその企業への就職意欲を図りかねる事態となります。就職した後も結局はミスマッチであったということにならないよう、最近ではパソコンでエントリーシートを送付してくると、自筆で書いてくるようにと指導されることがあると聞きます。就活生は限られた時間の中で意中の企業を絞り、心を込めてエントリーシートを書きます。企業側は真摯な姿勢で、その肉筆からその人となりを感じとろうとします。
 生活のすべてで手書きがあたり前だった私が就職する頃、エントリーシートなるものはありませんでした。手書きする機会が少なくなったとよく言われる昨今、思わぬところで手書きの重要性が高まっていることに時代を感じています。

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