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練習の量が質の変化になるとき(2016年10月号) [2016]

収穫の秋到来です。年間賞を受賞された方々には心よりお祝い申し上げますとともに、そのご努力に深甚なる敬意を表します。
 この「実り」での学習は、月例の課題が中心ですが、そのほかに師範準師範試験や昇段試験、展覧会や誌上展などにチャレンジをする機会があります。私の指導経験からなのですが、これらに取り組むと、今までの練習から一枚皮がむけたような力がつくことに気づきます。例えば書道などで、いつもは清書作品が楷書か行書しか選ばれなかったのが、草書が選ばれたりします。何も草書を集中的に練習してきたわけではないのにです。また、いつも指摘してきた注意点が落ちついてきたりもします。
 試験や展覧会などに向けた練習は、ある意味、自分の限界に挑むような試みです。自らの能力の臨界点にまで到達した時、練習の量が、根本的な能力の変化に転じるのかもしれません。真摯にチャレンジした痕跡は、確実に自らに残り、財産となっているはずです。新しいことにチャレンジすることはしごく骨の折れることですが、それによって新境地が開け、人生がより豊かさを増すこともあります。今月号では、そんな道のりを確実に歩み、成果を上げている方々のすばらしい顔ぶれが揃っています。書の道は険しいものですが、共に学ぶ頼もしい仲間がいれば、また力が湧いてくるものです。
 書を楽しむことは、書と長くつきあうコツであり、書を通して心を養う術に違いありません。会員の皆様が、益々書と親しみ、今後も日々新面目のあらんことを祈念しております。

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