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手書きの世代間感覚ギャップ(その一)(2017年4月号) [2017]

 手書きに関して言えば、現在四十代以上の方は、子供の頃、通信手段といえば主に電話や手紙であり、メールでのやりとりなどは、経験されたことがなかったはずです。そういう私も、世人に先んじて四十年近く前、まだ、お父さん達が電車が止まると十円玉を手に公衆電話に行列を作っていた頃、好奇心から電子メールをしていたものです。この頃の電子メールは、モジュラーという機械の上に電話の受話器を乗せて、カセットテープに録音した電子音を送る、といった方法ですが、これが未来を体感しているようで、一人得意になっていた事を覚えています。この頃の世代は、文字は手書きすることから、タッチすることに移行していくと考え、悪筆にもかかわらず手書きを強いられ、そこから解放されることに明るい将来を描いていたのかも知れません。
 翻って現在、学校の保健室に行けば、デジタル機器の過度の使用を控えるようにと呼びかけるポスターをあたり前に見かけるようになりました。最近では、日本小児医会と日本医師会が、約十七万人の会員に向けて「スマホの時間 わたしは何を失うか」と題して、使用時間に比例して学力が下がることをデータで示しています。今の高校生以下の世代は、現在、四十代以降の社会の中心となっている働き盛りの世代がまったく受けていないデジタル機器の負の側面について学んでいるのです。
 私が手書きについて色々な人と話しをする中で、四十代以降の世代では、「手書き」が「古いもの」という感覚が前提になっていて、逆に高校生以下になると「かっこいい」という感覚があることに気付きます。これは、書道や百人一首を題材とした漫画が子供達に人気を博していることでも分かります。情報通信革命のただ中にある我々にとって、この世代間のギャップは、無視の出来ない事象と感じる場面に多く遭遇しています。次回はこのことについてお話していきたいと思います。

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