手書きの世代間感覚ギャップ(その二)(2017年5月号) [2017]
今の中高年が学校に通っていた頃の定番の筆箱として「缶ペン(カンペン)」というものがありました。名のとおりスチール製で、筆記具がそれこそ六本も入れば一杯になってしまう代物です。文字を書くことが誰でもタッチするだけで可能になった昨今、筆記用具はあまり売れなくなったでしょう、と缶ペン世代の方はよく言います。実際にはさにあらずで、筆記用具の売り上げは右肩上がりです。筆箱のサイズも大きくなりました。子供達はまるで弁当箱かと見紛うような大きな筆箱に筆記用具を沢山入れ、それを使い楽しんでいます。
先日、アルコールやメディア依存に関する治療、研究を行っている久里浜医療センターの中山秀紀精神科医長のお話を伺いました。中山先生はテレビやインターネットの接触時間と、その依存に関して様々なデータを集め、その問題点を詳らかにしています。それらの中でも興味深かった点は「依存者と周囲の人との考えの根本的な相違とジレンマ」に関してです。大人は「好きなこと(ゲーム・ネット)を存分にしているから、幸せなんでしょうね」と考えるそうですが、子供にしてみれば「好きなこと(ゲーム・ネット)を存分にしている。けれど自分は不幸。なぜ?」と感じているといいます。依存者はゲーム・ネットから抜けられないだけで、楽しんでいるわけではないのです。こうした感覚のギャップは、アルコール依存など、他の依存にも言えることで、問題の解決を難しくさせています。
手書きや書道というと、中高年以上の世代は「古い」もので、これからはパネルにタッチして読みやすい文字を書くことが「新しい」ものと考えている人が多いようです。つい最近、某放送、新聞のメディア関係の方々と手書きと脳についてお話をする機会があり、やはりそのような感覚を持っていましたが、話が終わる頃には手書きについて認識を新たにしたようで、皆、顔を明るくして今日は勉強になった、と帰っていきました。本当に分かったかは定かではないのですが、熱意を持って語れば通じる話題であり、「新しい」時代に漠然とした不安を覚えている中高年にとっては、希望ともなる視点を提供出来る「手書き」の話なのかも知れません。ちなみにこの対話は気が付いたら四、五時間が経っていました。これからも腰を落ちつけて根気よくこの話題を発信していきたいと思っています
先日、アルコールやメディア依存に関する治療、研究を行っている久里浜医療センターの中山秀紀精神科医長のお話を伺いました。中山先生はテレビやインターネットの接触時間と、その依存に関して様々なデータを集め、その問題点を詳らかにしています。それらの中でも興味深かった点は「依存者と周囲の人との考えの根本的な相違とジレンマ」に関してです。大人は「好きなこと(ゲーム・ネット)を存分にしているから、幸せなんでしょうね」と考えるそうですが、子供にしてみれば「好きなこと(ゲーム・ネット)を存分にしている。けれど自分は不幸。なぜ?」と感じているといいます。依存者はゲーム・ネットから抜けられないだけで、楽しんでいるわけではないのです。こうした感覚のギャップは、アルコール依存など、他の依存にも言えることで、問題の解決を難しくさせています。
手書きや書道というと、中高年以上の世代は「古い」もので、これからはパネルにタッチして読みやすい文字を書くことが「新しい」ものと考えている人が多いようです。つい最近、某放送、新聞のメディア関係の方々と手書きと脳についてお話をする機会があり、やはりそのような感覚を持っていましたが、話が終わる頃には手書きについて認識を新たにしたようで、皆、顔を明るくして今日は勉強になった、と帰っていきました。本当に分かったかは定かではないのですが、熱意を持って語れば通じる話題であり、「新しい」時代に漠然とした不安を覚えている中高年にとっては、希望ともなる視点を提供出来る「手書き」の話なのかも知れません。ちなみにこの対話は気が付いたら四、五時間が経っていました。これからも腰を落ちつけて根気よくこの話題を発信していきたいと思っています
2017-06-13 23:23