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かな書道部設立七周年を迎えて(2017年9月号) [2017]

 平成二十二年十月号より発足した「かな書道部」が漸く七周年を迎えます。
私自身、かな書の学びは得るところが多く、書幅を広げられたのではないかと振り返ります。また七年の間、指導、審査にあたられた先生方には改めてそのご尽力に深く感謝申し上げます。
 書への入口は実に様々です。普段の文字を美しくしたい、のし袋を毛筆で書けるようになりたい、半紙に大きな文字を書きたい…。書への入口はいたるところにありますから、どこから入ってきても構わないものです。しかしながら、続けていくうちに、つきつめれば「書」という共通の学びの中でその本質を追求していることに気付くことがあります。かな書は、ペン字や漢字書や実用書と比べると、運筆一つとってみてもそのリズムやルールが異なります。例えば漢字で横画の一本の線を書くにしても、漢字ならトンスートンと書きますが、「かな」ならスーと書きます。いわゆる習字なら、「かな」はすべて同じ大きさで書きますが、「かな」書なら「こ」「さ」「と」「め」「ら」「る」の文字は小さ
く書く、といったルールがあるのです。また、かな書は変体がなや歴史的かな遣いを用いるので、このあたりの正確な知識も必要となってきますし、和歌や俳句を題材とするため、日本の古典文学に対する造詣も深めていかなくてはなりません。「かな書道部」が独立した部門として設立されたのはこのためです。
 一般に習字というと文字を整えたり美しく書くことを学ぶもので、書道というと、大きくくずして書くものと分けて捉える向きがありますが、実際には、整斉に見える書の中にも不均衡の美があったり、芸術書の古典といわれるものの中にもすきのない正確さはあるものです。
 創立以来の歴史のある書道部・ペン習字部・実用毛筆部・学生部に比べ、新顔の「かな書道部」も、そろそろ草創期を脱し、充実を期さねばなりません。
かな書への更なる取り組みはもちろんのこと、書を広く学ぶことは、書への真の理解に繋がるものと確信しています。