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かな書道部スタートと年間賞発表の二つの慶び(2010年10月号) [2010]

 記録的な猛暑も過ぎ去り、夏の疲れもそろそろやわらいできた頃でしょう。本号は「かな書道部」スタートと、年間賞の発表という慶事が重なりました。文化の秋まっさかりの中、力強くも前向きな事業、行事が進められますこと、会員の皆様と共にこの大きな収穫の喜びを分かち合いたく思います。
 年間賞の栄冠に輝いた方々の稽古に向う態度には、いつもながら敬意の念をやみません。各賞共それぞれ厳しい選出基準があり、そこに到達する迄には多くの時間と努力を要します。便利であればとか、なるべく楽に、という近頃の風潮にあがらい、困難を克服し、自らを律していこうという姿勢は、必ずや将来大きな財産になるに違いありません。

 かな書道部も今月から始まります。新しいことへの挑戦は、いつも何かわくわくするものです。書道の世界では「かな」と「漢字」を分けて扱うのが一般的です。実際、書家は「かな書家」と「漢字書家」に分類されます。両者は運筆のリズム、字形のとり方、書き方のルールなどすべてが異なります。しかし、それを「日本の文字を手で書く」というくくりで捉え、新しい自分なりの書を切り拓く意気込で臨めば、それは「唐様で売屋と書いて三代目」といった落首にあるような、外面を繕うことに専心し、内実を顧みない書との向き合い方と対極をなしえましょう。
 最後になりましたが、年間賞を受賞された方には改めてお祝いを申し上げます。今後も会員の皆様と力を合わせ、書と確かな形で向き合っていければと願っています。