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和風ブームの正体(18/02) [2006]

書店に出かけると「和」をテーマにした新しい雑誌が多く刊行されていることに気がつきます。若者の間では三味線がかっこよかったり、学校でも和楽器に人気が集まっているといいます。
 一昔前、洋風であることが粋で流行の最前線であったことが隔世の感をもってふり返られる程の和風ブームが到来しているとさえいえます。例えば禅とか写経といった、少し前なら若者が古くてかっこ悪いとした和のふるまいが逆に高級感を以って歓迎され始めています。
 アルファベット文化圏の外国の方に漢字を書いて見せると、予想以上に大きな関心を示していただけることがあります。漢字はアルファベットとは異なり、それぞれに固有の意味があり、日本人はその形と音と意味といった記憶の糸を紡ぎ出しながら文章を綴っていきます。それも漢字や仮名を折り混ぜながら、それを芸術と言われるほど迄美しく書き上げることさえします。
 また、日本人は文字獲得以前にもすでに他の地域の人々とは違った特色を持っていたことが明らかになっています。例えば考古学上の研究からも、かなりグルメな人種であったようで、それらは遺伝子にさえ残されているといいます。豊かな海や山や川、そしてそれがおりなす四季の移り変わりが原始日本人の心を育んできたことは違いありません。
 左掲の条幅課題の「看脚下」は、禅の世界ではやや使い古された感のある言葉です。それが今再び、心地よい響きをもって胸に届いてくるのは、私一人の感覚ではないような気がします。