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急がず休まず(17/02) [2005]

学力低下論争の中で、学校の週5日制の是非についてもよく話題にのぼります。学校に通っていなくとも、最近のハッピーマンデーの段階的な導入で、社会全体としても益々連休が増えてきています。
 連休は楽しいものです。日頃の学業や社会的責務から解放され、自由な余暇を享受出来ます。休みが連続すれば、それを利用して遠出も可能となるでしょう。学校の週五日制にしても、ハッピーマンデーにしても、ゆとりある豊かな社会の実現であるかのよう捉えるむきもあります。しかしこういった考え方に“待った”の声がかかり始めています。
 江戸時代、日曜に休むという習慣さえもなく、連休といったら、盆と正月といった位でした。そのかわり、仕事や学校は午前中で切り上げ、午後はそれぞれ悠々自適の余暇を過ごすといったゆとりもありました。
 火曜日に仕事を始めるときになかなかスタートエンジンのかからない社会人がいたり、学校でも勉強に手をつけられない生徒が多くいると聞きます。また休日の多い分や、スタートエンジンのかかりにくい非効率な面が、平日のスケジュールの過密へとつながり、かえって人々を疲弊させているという意見もあります。
 花に水をやったり、三度の食事をとったり、犬を散歩させたり、歯をみがいたり、歩いたりと……毎日少しずつでもよいから続けることが大切で、一ぺんにまとめてやっても意味のないことは多くあります。「急がず休まず」と言ったのはドイツの詩人ゲーテでした。書道にももちろんこれはあてはまります。「実り」や教材の課題を毎日練習するというが難しいのなら、一日一度でいいから筆記具を手にして丁寧に書くひとときを作るとよいでしょう。歩くことと同様に「手で文字を書く」という行為は文明人にとって大切な栄養源だからです。「三千年の術を知らぬものは、ただその日その日を生きるのみ」と述べたのもゲーテでした。皆様が長期の視野を持って日々を「急がず休まず」歩んでいかれますことを期待しています。