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東京書藝展に向けてスタート(2020年2月号) [2020]

 本会の主催する展覧会「東京書藝展」が今年の十月一日(木)~十月四日(日)の四日間にわたり池袋の東京芸術劇場で開催されます。四年に一度の開催であり、それぞれが温めてきたもの、育んできたものを発表する場となります。
 東京書芸展の開催は、別に申し合わせたわけではありませんが、ちょうどオリンピック開催の年と重なります。特に今回は東京オリンピックの年で、それが終わり、祭り後の静けさの中、文化活動に絶好な爽涼の時節の開催となります。世界における日本の立場を再確認するのもよいでしょう。日常、身近でありながらも漢字とかなを手書きし、それを芸術の域に迄昇華させ得た日本独自の文化に誇りを持つことを忘れるべきではありません。
 本展が東京芸術劇場で開催されるのも六回目を数えます。過去五回の私の作品制作を想い起こすと、それぞれ作品と、それに向き合った自分とが交錯し、それが自らの中で形となって残っていく感覚があります。達成感と言ってしまえばそれまでなのですが、その時々の自分なりに額に汗し体を動かしたことは、自他を豊かに実らせることにつながるはずです。
 昨年、十七年に亘り続けてきた「書字と脳」の研究を論文としてまとめることが出来、学術誌にも採択していただきました。以前よりデータに基づいて論ずるよう指摘はされていたのですが、そのデータを採り、統計学的な手法を用いて「手書き」することの意味を論じられたこと、今後はこれを社会に向かって発信していかなくてはならないと思っています。
 今回の東京書芸展には、以上のような想いが私の作品には籠められていることでしょう。日本の文字を手書きすること、この労多くも収穫に富む展覧会への取り組みに、ぜひ会員の皆様の多くが参加されるよう心からお待ち申し上げます。