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新しい部門に挑戦しよう(2021年5月号) [2021]

 風薫る五月、春から今迄とは違う環境となったという方も多いことでしょう。そのような毎日にも慣れ始め、何か新しい事に挑戦してみようとするに好適な季節が到来しました。
 この「実り」で学ばれている方は、「ペン習字」「書道」「かな」「実用毛筆」の四つの部門のいずれかを履習しています。学生部なら「硬筆」と「書道」になります。習字を始めてみようとするきっかけは実に様々です。普段書く文字を美しくしたいとか、板書をする機会が多いので、などといった理由でペン習字を学び始める方。昔に習っていた書道を再び始め、集中出来る落ちつきのある時間を過ごしたいという方。茶道で鑑賞する掛軸の古筆を読めるようになりたいという思いで日本独特の書美である「かな」に魅せられて始める方。のし袋や芳名録を上手に書けたらと実用毛筆を始める方。書の学びへの入口は多岐にわたります。
 興味や必要から始めて、しばらくすると他の部門にも関心が湧いてくることがあります。教室で他の会員の学習しているようすや作品を見たり、「実り」で自らの学びの延長線上にある書の別の側面に触れたりすることもきっかけとなります。学生部の会員も目習いとして一般部の書にふれることは有効です。
 例えば、写経などは書作品として考えれば書道ですが、細字と捉えれば実用毛筆になります。肘を上げて懸腕で書く大字の看板書きは実用毛筆そのものですが、字粒と執筆法は書道で行っているものです。かなの運筆のリズムや書き方のルールには書道と異なる点が多く、これには部門として独立した学びが必要です。かな独特の要素は他部門への応用が可能であり、古筆を学ぶという枠を超えて書幅の広さをもたらしてくれます。ペン専門の書き手が筆を使うと、大きな抑揚を表現出来なかったり、逆に毛筆専門の書き手がペンを使うと滑らかな線が描けなかったりすることがあります。
 「実り」における四部門は「書」を広くカバーしています。学び始める入口は「書」という全体像の一部でもあります。緑の鮮やかな季節、この奥深い「書」を探求すべく、新しい部門に挑戦してみるのもよいでしょう。

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