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東京書藝展のこれから(2023年5月号) [2023]

 六年ぶりに行われた本会主催の東京書藝展が去る四月九日(日)無事終了いたしました。実行委員長の塚原月華先生をはじめ役員の先生方、事務スタッフ、お手伝いいただいた方、またご観覧にお越しいただいた方々、皆様のおかげで素晴らしい展覧会になったこと厚く御礼申し上げます。
 書藝展の名のとおり、書をテーマに工夫を凝らした実に様々な作品が出品されていました。個性的な作品も全体の中で見事に調和しており、作品どうしが互いに引き立て合う、そんな展覧会になったかと思います。
 一つの書道団体の展覧会としては洗練された完成度の高い仕上がりになったと思います。ただ、それだけに今後これ以上のものを求めるとしたら、会期や会場、出品形態など多角的に見直していくことも必要かと感じました。
 お気づきになった方もいらっしゃるかと思いますが、ギャラリー2の入口の脇に「書字と脳の研究」のコーナーを設けました。学生部の展示スペースとは趣きを異にしていましたが、一般部にせよ、学生部にせよ、本会の書の理念は、こうした学際性の高い科学的な研究によって支えられており、本展はそれを具現化したとも言えるのです。会員の皆様が学習環境を確かなものとするためにも、色々な分野の方々と協力し、文字を手書きする意味を研究していくつもりです。
 展覧会期間中は、来場する方々を出迎えたく出来得る限り会場に居るようにしたつもりなのですが、すれ違いでご挨拶が叶わなかった方々には、この場を借りてお詫び申し上げます。それでも多くの方々と拝眉の機会に恵まれましたこと嬉しく思っておりす。本当に久しぶりにお目にかかる方もおり、こうした側面からも有意な展覧会であったと思います。
 書教育は今、技能習得から高次脳機能の獲得、言い換えれば人間形成へと大きく舵を切ろうとしています。激変する社会環境の中で書を能くすることは益々重要性を高めていくことでしょう。皆様のこれからのご健筆を心より祈念しております。